スーパー丸幸(群馬・富岡市)がスーパー事業撤退 閉店する2店舗は「トライアル」に移行
2024/10/30
西毛地域でスーパーマーケットを運営するスーパー丸幸(群馬県富岡市富岡)がスーパー事業から撤退することが29日、分かった。ディスカウントストアを展開するトライアルカンパニー(福岡市)に事業を譲渡する。県外資本のスーパーやドラッグストアが出店を加速させる中、近年、地場のスーパーが営業を取りやめるケースが増えており、歴史あるスーパーがまた一つ姿を消すことになった。
富岡バイパス店(富岡市)と藤岡宮本店(藤岡市)は3日に閉店し、トライアルの店舗に移行する見通し。9月に両社で事業譲渡に関する契約を結んだ。希望する従業員はトライアルが雇用する。会社は存続し、過去に閉店した店舗を生かした不動産賃貸業を行う。
同社は1913(大正2)年に海産物問屋として創業し、58年に高崎市吉井町に1号店を出してスーパー事業に参入した。一時は前橋市や安中市にも進出して7店舗を展開したが、現在は2店舗のみが残る。
「正直な商売」を掲げて顧客本位の品ぞろえや接客を実践し、富岡バイパス店では地元名物の「ホルモン揚げ」を扱うなど地域に寄り添う運営をしてきた。だが、人口減少などで業界全体が過当競争にさらされる中で体力を削られ、事業から退く判断に至った。
野村英樹社長(66)は「倒産という最悪の事態を避け、取引先や従業員に極力迷惑をかけない形を選んだ。祖父の代から111年続けてこられたのは地域のおかげ。長年のご愛顧に感謝したい」と話した。
県内ではツルヤ(長野県)やベルク(埼玉県)が出店攻勢を強め、食品を扱うドラッグストアも増えている。価格や商品開発の面で競争力に勝る大手に押されて地場スーパーは苦戦し、2022年には前橋市などに展開していた「しみずスーパー」と北毛地域を地盤としていた「すーぱーこいけ」が事業を停止した。
数十年にわたってスーパー丸幸を愛用していたという富岡市の女性(84)は「野菜が新鮮だったり、良い商品があっただけに残念」と閉店を惜しんだ。
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